日本ランジェリースタイリスト協会 | HP
世の中が変わった時に見えた「好き」×「需要」×「得意」が重なる場所
ランジェリースタイリストいわがわあかねさんに、大切にしていることやこれからの展望についてインタビューを行いました。
受講時から真面目で誠実な印象のあかねさんですが、お話を聞いてみるとはっきりした意思と自ら道を切り拓く力を強く持ったエピソードがたくさんありました。皆さんのヒントになるお話もあると思います。ぜひ、ご覧ください。
「本物思考」をもとに、自分で道を切り拓く
中根)まずは、ランジェリースタイリストになるまでの歩みを伺ってもいいですか?
あかねさん)振り返ってみると、世間一般で「良し」とされるレールからはずっと外れてきた人生でした。
はじまりは高校受験の時。地元ではめずらしく、私立女子校の美術進学コースに進みました。私は「自分の好きなこと」や「やりたいこと」というのがはっきりしていて、中学3年生の時点で行きたい大学も決めていたので、その大学に進学しやすいように戦略的な選択でした。
中根)中学3年生の時点でというのは早いですよね…!ご家族からのお勧めだったんですか?
あかねさん)自分で調べました。両親は教育に熱心な方ではなく、どちらかというと放任主義な家庭で育ちました。そのため、キャリアを積み重ね力強く自由に生きているおばに強く影響を受けたんだと思います。
優秀な方で、「本物思考」を持つ人だったんです。美術に興味があると話した時には美術館に連れて行ってくれ、バイオリンを始めた頃はオーケストラを聴きに連れて行ってくれました。いつも「本物を知らなきゃいけないよ」と伝えてくれたおばの背中を見て育ちました。
高校に進学後は絵の勉強に打ち込み、学校の課題でも趣味としてもずっと絵を描いていました。夜中に音楽を聴きながら絵を描いていた情景は今でも覚えています。
力を入れていた大学受験もAO入試(現在の総合型選抜入試)に受かったことで夏には終わり、そこまではとても順調だったんです。
大学では、染色や布を扱うテキスタイルを専攻していました。大学に入って一年が過ぎた頃、家庭の事情が変わり、休学することを決めました。休学している間はひたすらバイト。お金を貯めて復学して、また休学して…残念ながら卒業まで通うことはできず、同学年の子が卒業するタイミングで退学届を出しました。
中根)さまざまなことがあったのですね。大学を退学された後はどう過ごされていたんですか?
あかねさん)25歳までフリーターとしてホテルの宴会場でアルバイトをしていました。主に一般の宴会とブライダル(披露宴)のお仕事がありました。私はダントツでブライダルが楽しくて。結婚式にハマってしまいました。
25歳になった時、このままフリーターではなく就職しようと思い、ブライダルの演出会社を就職先として選びました。ブライダルに相当ハマっていたことと、美術や芸術を捨てたくなくて、「好き」と「経験」を活かせる仕事にしたかったのが理由です。その会社は求人募集を出していなかったのですが、直接メールで面接をしてもらうようお願いしたところから採用していただけました。
中根)就職されたあと、お仕事はどうでしたか?
あかねさん)新商品開発のための工場探しから会場でのセッティング、プロジェクションマッピングのデータ制作、広報などいろんな業務を経験しました。毎日違うことをできるのは楽しいし向いていましたね。
業務の一つとしてブライダルフェアの接客などもやっていました。おふたりのやりたいこと・大切にしたいことなどをヒアリングして、豊富な商品の中から提案を組み立て、結婚式当日の流れをイメージしてもらう、という業務は今の仕事にも繋がっているなと感じます。
世の中や自分の生活が大きく変わって、見えたもの
中根)Lingerie Collegeを受講された時はすでに退職届を出していたそうですね。お仕事と並行して学ぶ方も多いですが、退職して次の道に進もうと思ったきっかけはなんだったんですか?
あかねさん)Lingerie Collegeは一期の頃から知っていました。ランジェリーは好きだけど、今まで仕事として関わったこともないし人生がもう一周あればやってみたいな、くらいの軽い気持ちで見ていました。
意識が変わったきっかけになったのは、新型コロナウイルスの流行でした。ブライダルの業界では、お客様の結婚式がほぼ中止か延期になってしまい今までどおり働くことができなくなってしまい…。世の中の役に立てないのなら仕事として成立しないんだなと実感しました。そして今後も、感染症じゃなくてもガラッと生活が変わる可能性があることに気づいたんです。
世の中から消えることはない仕事(需要) × 情熱を持って時間を費やせること(好き) × 自分の経験やスキルを活かせるもの(得意) という掛け合わせを探した時に、ランジェリースタイリストしかないと思いました。
ランジェリーは大多数の方が使っているものです。簡単に世の中からなくなることはありません。私はランジェリーが好きだし、元々染色や布に詳しいのでその知識も活かせるのではないか、と思いました。
そう考えていた時に、セルフスタイリング講座1期の案内が届きました。タイミングもピッタリで「チャレンジする時だ」と思い申し込みました。
ランジェリースタイリストとしての歩き出し
中根)仕事も含め今後の人生を真剣に考えた時に、一番自分の「核」や「コア」になる部分が見つかるのはとても大切なことだと思います。地に足がついているのが素敵ですね。現在はランジェリースタイリストとしてどんな活動をされているんですか?
あかねさん)現在は、シルクのインナー会社様を業務委託でお手伝いしています。ランジェリーの専門家として、問い合わせにどう回答するかをお店の方と一緒に考えたり、サイズ表記について監修したりしています。
その他にもECサイトの裏側の操作やホームページの編集のお仕事をさせてもらえたりしているので、「今まで知らなかったことを知る」という意味ではいい会社にいいタイミングで出会えたなと感じています。
中根)その会社にはどうやって出会ったのですか?
あかねさん)求人が出ていたので応募しました。私はランジェリーの業界も小売の業界も未経験だったので、販売の裏側を知ることで経験値になって、企業案件を獲得するための信頼感に繋がればいいなという思いからです。
その会社での仕事の他には、オンラインの個別レッスンもしています。
社会の様子は見つつ、2月にはお買い物同行も行きました。同行したお店では、お客さんが試着している間に店員さんと一緒になってお客さんに合うものを探すことができて。人と一緒に選ぶ経験ってなかなかないので、私自身とても楽しく、印象に残っています。
中根)素敵ですね!京都はランジェリースタイリストもまだまだ少ないので需要が大きいはずです。
あかねさん)そうですね。卒業生では、私とみやさんくらいかもしれないです。(2022年5月時点)
もう一つ、ランジェリースタイリストとして情報発信にも取り組んでいます。SNSはもちろんですが、最近はWebマガジンを自分で作り出したところです。
ランジェリースタイリストだからこそ伝えられる内容を、リラックスしながらじっくり読んでもらえご自身と向き合う時間を作っていただけるメディアに育てたいと考えています。
憧れが募って、いつしかかけがえのないものに
中根)あかねさんがランジェリーを好きになったきっかけはなんでしたか?
あかねさん)10代の頃は、私にとってランジェリーは遠い存在でした。母があまり下着に関心がなかったこともあり、ファーストブラを買ったのも中学3年生でした。高校時代は中学の時に買ってもらった3枚をそのまま着回し過ごしていたほどです。
ただ、距離が遠かった分憧れはどんどん募っていきました。自分で初めて買ったのは、雑貨屋さんで売っていた美しいレースのついたキャミソールだったことを覚えています。
20歳になる頃には、友人と遊んでいる際に一緒に買いに行ったり、ウィンドウショッピングで「下着好きなんやなぁ」と言われたりするようになりました。距離が遠かった分、ずっと温め続けていた憧れに手が届いたことに気づいて一気にタガが外れましたね。特に当時はサルートにハマっていました。サルートでのお買い物体験がとても素敵だったんです。
私にとってランジェリーはかけがえのないものです。
「一生自分に活かせる知識」と「五感を大事にすること」
中根)ランジェリー業界未経験から、ランジェリースタイリストを目指す方へのアドバイスはありますか?
あかねさん)ランジェリー業界は全くの未経験だった私が、最初に唯一持っていた権威が「Lingerie Collegeの卒業生」という肩書きでした。「卒業生です」と言うだけで、デザイナーさんとの話もスムーズでしたし、「中根さんのところの方ですね!」と言われたことも何度もありました。
「Lingerie College」「中根菜穂子さん」という2つの大きな存在に包まれて歩き出せるのはとても大きかったです。未経験な人ほど、Lingerie Collegeの受講をお勧めします。迷っている人は一旦申し込んだ方がいいと思います!(CMじゃないです笑)
実際に受講してみて、向いてないなと思う人はいるかもしれません。でも仮に仕事にはしない選択をしたとしても、自分には絶対に活かせる知識が身に付きます。下着は一生身に着けるものですから。時間とお金は無駄にはなりません。
あと、プロとしてやっていきたいと思う人に大事だなと思っていることは「自分の五感を大事にすること」です。今どき、商品の情報はネットでたくさん見ることができます。でも、写真で商品そのものの色や質感を出すのは本当に難しいことです。
意外なところで生地が肌に当たるとか引っかかるとか、衣装として使うなら服との相性で余計な音が鳴ってしまうから向かないかも、とか。手に取ってみないとわからない情報ってたくさんあります。
プロとしてやっていくなら、絵や写真ではなく「本物の」ランジェリーと向き合ってほしいです。
中根)実際に手に取った情報を適切に伝えるために、専門知識が役立ちますよね。
ランジェリースタイリストとしてやりたいこと
中根)あかねさんの、今後の夢や展望があればぜひ教えてください。
あかねさん)ランジェリーメディアをライフスタイルマガジンとして雑誌にして発行したいです。
ファッション誌の一部で特集が組まれることはありますが、ランジェリー好きからするとページ数が少なく読み足りないなと思っていて。せっかく個人でも出版できる時代に生きているので、自分で作ってみたいなと思ってまずはウェブマガジンからスタートしています。
中根)今後のご活躍も、夢の実現も楽しみにしています。ありがとうございました!
ランジェリースタイリスト いわがわあかね さん
いわがわあかねさんInstagram :https://www.instagram.com/akane.lingerie_stylist/
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